サッカーの男女間給与格差:男女スター選手の収入を比較

女子サッカーは世界で最も急速に成長しているスポーツの一つですが、FIFAの新しい報告によると、プロ選手の給与はその成長スピードには追いついていません。
給与、契約期間、さらにはコーチングの機会における格差が広がっており、女子サッカーがいまだに完全なプロフェッショナル化に苦しんでいる現状が浮き彫りになっています。
ここでは、2025年に女子サッカー選手が期待できる収入と、男性選手との格差がどれほど拡大しているのかを詳しく見ていきます。

女子サッカー選手の平均年収

FIFAが発表した女子サッカーにおける最新の年次報告書は、非常に厳しい現実を示しています。
女子プロサッカー選手の世界平均年俸は10,900ドル(約84万円)ですが、これはごく少数のトップクラブによって引き上げられた数字です。

FIFAが「ティア1」と分類した41クラブ(16か国)の平均年俸は約24,030ドル(約185万円)で、うち16クラブは平均年俸5万ドル(約385万円)超でした。
最高年俸は約12万ドル(約925万円)です。

しかし、ティア2およびティア3のクラブでは平均年俸がそれぞれ4,361ドル(約33万円)2,805ドル(約21万円)と非常に低くなっています。

ティア1のクラブでは契約期間も長く、1〜3年が一般的で、2〜3年契約が最も高ね傾向にあります。一方でティア3のチームでは3か月未満の短期契約が多く見られました。

「長期契約があることで、選手はクラブとその地域に専念でき、安定した環境でキャリアに集中することができます」と報告書では述べられています。

FIFAはまた、ティア2やティア3レベルの多くの選手が、サッカーだけで生活するのは難しく、副業に頼らざるを得ない状況を指摘しました。「一定レベル以上の選手が、サッカーだけで生活できる安定した収入を得られる必要があります。そうすることで副収入への依存を減らし、より高いレベルでプレーするための時間を確保できます」と記されています。

これは、男性選手との大きな対比です。男子サッカーは女子サッカーよりも大きな収益を生んでいますが、収益に対する給与の比率も圧倒的に高いのです。

男子サッカー選手の収入

クリスティアーノ・ロナウドやキリアン・エムバペなどの超高額年俸は、スポーツニュースではおなじみです。
例えばロナウドは2025年に基本給だけで2億1,900万ドル(約167億円)を受け取ると報じられています。これはボーナスを含まない金額です。

スポーツベッティングやオンラインカジノのボーナスのような「運」ではなく、ゴール数やアシスト数といったスキルに基づいた成果報酬です。
しかも、その額は一般の人が夢でしか見られないような金額です。

超トップ選手だけでなく、イングランド・プレミアリーグの平均選手でも年俸827万ドル(約11億円)に達すると言われており、その週給だけで女子選手の年俸を何倍も超えています。

こうした高額報酬には賛否両論があり、「選手が一般人とかけ離れた存在になっている」と批判する声もあります。
一方で、「彼らがクラブに数十億ドルの利益をもたらすのなら、それに見合った報酬を受け取るのは当然だ」という声もあります。

しかしこの論理は、女子サッカーには当てはまっていません。収益が増えても、選手の給与には反映されていないのが現状です。

女性選手の待遇は今後変わるのか?

女子選手の待遇改善は少しずつ進んでいますが、変化のスピードはまだ遅いです。
とはいえ、露出の増加やメディア報道の強化により、給与引き上げを求める声はかつてないほど高まっています。

FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、「この報告書は、クラブやリーグ、関係者が成功の要因を理解するのに役立つ」とし、「近年の進歩は目覚ましいが、女子サッカーの可能性を最大限に引き出すには、まだやるべきことがある」と述べました。ただし、この「進歩」の中に女子選手の給与改善が含まれているかは不明です。

報告書では観客動員数の課題にも触れています。アーセナルは昨年、女子スーパーリーグの試合でエミレーツ・スタジアムに60,160人を集めましたが、
ティア1クラブの平均観客数は1,713人、ティア2および3では480人と380人にとどまっています。

このまま観客動員が増えなければ、クラブ側が給与引き上げを正当化するのは難しくなるかもしれません。
たとえ選手がスポーツ全体の発展に貢献していたとしても、です。とはいえ、この最新の報告書は女子サッカーのトップ選手たちにとって厳しい現実を突きつけており、
この競技が真の意味でプロフェッショナルとして認められるためには、まだまだ多くの課題が残されていることを明らかにしています。